暮らしの瞑想

2024/05/30 14:29


マインドフルネス瞑想と仏教瞑想の関係性

世間にブームを起こしている「瞑想」ですが、基本的にはビジネスや医療で提唱されて人気を博した「マインドフルネス瞑想」が皆さんの知る所だと思います。
実はその「マインドフルネス瞑想」は仏教瞑想が基本軸となってビジネスや医療の世界でアレンジ・開発されたものとなり、マインドフルネスと名前がつくものは仏教瞑想を指しているのです。
先ずは、マインドフルネスの語源から掘り下げて、マインドフルネス瞑想と仏教瞑想の関係性を学んでいきましょう。


マインドフルネスとは?

マインドフルネスとは、過去や未来・先入観といった雑念にとらわれることなく「今この瞬間に起きていることに意識を向け、評価判断せずにただ観察する」と言う意味が含まれた言葉で、よく「今を生きる」と言う言葉で耳にしているかと思います。
簡単にいいうと<「今、ここにいる状態」に心を100%集中させること>と捉えられます。

そんなマインドフルネス瞑想の起源は、2500年前にから続く仏教の考え方・修行の軸である「今を生きる」と言うことを実践するための修行法の一つで、最近できた新しい言葉ではありません。
日本の仏教である大乗仏教は、基本的にはオリジナル化された独自の考え方が混じったものなので、日本のお寺の宗派によっては考え方が異なったり、また古典仏教である上座部仏教(テーラワーダ)や小乗仏教が主軸のタイやベトナムなどの南部仏教、小乗・大乗・密教を網羅するチベット仏教などでも派閥の違いから若干の考え方が異なりますが、仏陀そのものが編み出した「今を生きる=マインドフルネス」は大きく変わることはありません。

現在のマインドフルネスという言葉がつく全てのものは「仏教瞑想」のことを指す言葉ということになります。
何故、仏教瞑想がマインドフルネス瞑想としてビジネスや医療の世界で広がっていったのか?を次にお話しします。


坐禅から派生した「マインドフルネス・ストレス低減法」

マインドフルネスをアメリカでブームにしたのは、1979年マサチューセッツ工科大学のジョン・カバットジン(Jon Kabat - Zinn)博士が、医学部にマインドフルネス・ストレス低減プログラムを実施し、センターを開発したことから始まります。
元々、ジョン・カバットジン博士は坐禅を趣味としその瞑想の世界観を探究した結果、瞑想によって得られる効果は東洋人だけではなく、西洋人にも通ずると確信。仏教の教えから始まったことで宗教色が強いものを「仏陀は人間の悩みを解決するために修行してきた人物、その教えは仏教徒のためだけではなく、宗教や国境を超えた万人のためのものである」と考え、伝統的な仏教の考え方を現代的にアレンジ。マインドフルネスのプログラムを医療分野に取り入れ発展し世界に広めました。


医療分野で研究結果が出たことで、ビジネス分野へと広がる

ジョン・カバットジン博士は医療分野で様々な研究から「心の知能指数(EQ)の向上」や、主に脳の機能の向上やストレスを受けることで活性化する「扁桃体」がマインドフルネス瞑想の継続である程度抑制させ、感情がネガティブな方向へと走る時に起きる扁桃体ハイジャックをコントロールする力など科学的な根拠を数多く出しました。
そうした研究結果から、今度はビジネスの世界へと広がり、Googleのエンジニアである「チャディー・メン・タン(Chade - Meng Tan)がマインドフルネスに基づくEQ育成プログラムを開発。EQを社会に広めたダニエル・ゴールドマン博士、マインドフルネスを西洋会社に広めた第一人者、ジョン・カバット・ジン博士、禅師などの協力を経て「世界平和のお膳立てをするために」と、SIY(サーチ・インサイド・ユアセルフ)を開発。Googleで実践し効果を証明したことで世界中の人が知ることとなります。

マインドフルネス瞑想から派生したSIYは、主にビジネスや社会で生き抜くための「心の知能指数(EQ)の向上」「生産性の向上」「コミュニケーション能力の向上」などの結果を出すことに着目し、会社や社内のチームや上司と部下の関係性の向上を図ることで、ビジネスを円滑にウェルビーイングな結果を促すプログラムになっています。(SIYはGoogle独自のプログラムのため、Googleが認定講師と認めたものしか指導することができません)


古典仏教が見つけたことは、現代にも通づる技である

2500年から「この生き方がベスト」とそのために作られた「心を鍛えるトレーニング方法=瞑想」です。
瞑想を行うことで集中力のUP、心の知能指数(EQ)の向上や、メタ認知力を鍛えるなど脳への研究結果もだし、科学的な根拠を出すものとなりますた、昔から人が求めるものや生きる上での迷いや葛藤は中々変わるものではないと知ることができます。
私たち現代人が難しいと考えている瞑想ですが「継続することが力となる」心を鍛えるトレーニング法で、1回や2回で完成するものでもないということが言えます。
やり続けることが必要になりますが、社会やライフスタイル、そして脳への老いに関わることでもこのマインドフルネス瞑想・仏教瞑想の継続は、私たちを生きる上でサポートしてくれるより良いツールと言えるでしょう。